消したいタバコの口臭!歯科医おすすめの対策方法
「タバコによる口臭をどうにかしたい」「人より臭いがきついのではないか」とお悩みではありませんか?
特に人と至近距離で会話するときなどに、不快な思いをさせてしまう恐れもあり、タバコによる口臭を消す方法を模索している人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、タバコによる口臭を消す方法について、詳しくご紹介します。
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●この記事を書いた人●
ひぐち歯科クリニック 院長
歯科医 樋口均也
日本口臭学会 口臭指導医大阪府茨木市のひぐち歯科クリニック院長。大阪大学歯学博士。口臭治療のスペシャリストとして約30年間口腔診療に従事。テレビ・新聞・雑誌等多くのメディアに出演・解説・執筆の経験を持つ。日本口臭学会 口臭指導医・厚生労働省 臨床研修指導医・ドライマウス研究会認定医・日本中医学会中医学認定医・インタネット医科大学口腔内科教授。
執筆記事
・耳鼻咽喉科の情報専門誌「JOHNS」 執筆記事論文掲載
・保険同人社「暮らしと健康」親知らずの悩みについて解説
・かんさい情報ネットten.「チーズ人気のカラクリ チーズの虫歯予防効果についての検証」
タバコを吸うと口臭がきつくなる理由
嗜好品として広く世界で親しまれているタバコですが、一方で健康に悪影響を及ぼす側面もあります。タバコの主流煙に含まれる化学物質は、口の中にさまざまな影響を与えるため、口臭に繋がる恐れがあります。
◇タール
タバコの煙に含まれる成分のうち、粒子成分であるタールは“ヤニ”とも呼ばれています。油分を含んでいるため、歯や舌に絡みつくように付着し、口腔内にとどまらず肺の内部からタバコ特有の臭いを発する原因になります。
◇ニコチン
ニコチン自体は臭いを発することはありませんが、唾液の分泌を抑制する作用があります。唾液の分泌量が減少すると口腔内の自浄作用が機能しなくなり、口腔内が乾燥することで雑菌が増殖し口臭の原因になります。
◇舌苔(ぜったい)
舌の表面にこびりつく苔状の汚れを舌苔(ぜったい)といいます。舌苔は非喫煙者でも口腔内の乾燥などにより発生しますが、飲食や歯磨きなどにより自然に除去されています。
一方で、喫煙者の舌苔には油分を含んだタールが絡みつくように付着しているため、簡単には除去できません。初めは白い苔のような舌苔が、やがて茶色く変化し強い口臭の原因になります。
◇歯周病
ニコチンやタールには歯茎の血行を悪化させる作用があるため歯周病リスクが高まります。吸う人と吸わない人とを比べると歯周病リスクは5倍も違うことが分かっています。また、喫煙者が歯周病にかかると進行が早く治りも悪いるため、膿や出血がひどくなり強い口臭の原因になります。
◇膿栓
タバコを長期的に吸うことで、口呼吸をするようになる傾向があります。口呼吸が常習化することによって、喉に膿栓(のうせん)ができてしまうこともあり、膿栓から膿汁(のうじゅう)がでることで口臭がきつくなります。
膿栓は見た目が白く丸みを帯びているため「白い玉」や「臭い玉」などとも呼ばれています。喉の奥に付着しているため、耳鼻咽頭科などで処置する必要があります。
臭い玉(膿栓)の取り方が分かると、喉の奥からの口臭対策と予防が簡単にできる! >>詳しく読む
タバコによる口臭を消す方法とは?
タバコが原因となる口臭は物理的口臭に位置づけられ、ニンニクなどを食べた際に生じる口臭と同じ原理です。タバコを吸わなければ口臭がきつくなることもありませんが、以下の方法でタバコが原因の口臭を和らげることが可能です。
歯磨き・歯間ブラシ・デンタルフロス
歯周病やむし歯を予防し口の健康を保つためには、歯磨き・歯間ブラシ・デンタルフロスといった口腔内清掃は欠かせません。歯にこびり付くタールを除去するためにも、歯磨きや歯間ブラシ、デンタルフロスを使用した口腔内清掃は効果的です。
舌ブラシ
口臭の原因となるタールは、舌の表面に存在する舌苔に絡まるように付着し、油分を含むため粘着性があります。
舌ブラシで舌をなでるように優しいタッチで動かし、舌苔を除去していきましょう。歯ブラシでは舌の表面を傷つけてしまう恐れもあるため、舌専用のブラシを必ず用意しましょう。
舌苔の取り方と予防法を解説。舌の白い汚れは口臭の原因に >>詳しく読む
マウスウォッシュ
口臭の原因となるタールは、口腔内の粘膜などにも付着します。口の中の隅々までタバコによる口臭を消すためには、マウスウォッシュが有効です。
タブレット
吸ったタバコの主流煙は肺に到達し、体内からも臭いが発生します。強い香料を含むタイプのタブレットには、体内からでてくる口臭を包み込む効果があります。コンビニなどで手軽に買えて持ち歩くこともできるので、タバコを吸った直後など気になるタイミングで活用しましょう。
うがい
外出時の口臭対策として、うがいが効果的です。タバコを吸った直後にうがいをすることで、タバコの煙に含まれるタールやニコチンが洗い流されるため、タバコによる口臭を弱めることが可能です。
その他にも喫煙のリスクはいっぱい
タバコには有害物質200~300種類と、化学物質4,000種類ほどが含まれているとが分かっています。そのため、口腔内はもちろんのこと、全身の健康にも悪影響を及ぼす可能性があります。
歯周病
毛細血管を収縮する作用が働き、歯周病リスクを高めてしまいます。歯周病の症状が進行すればするほど歯を支える歯周組織は溶けてしまい、やがて歯を支えきれなくなり、歯が抜け落ちてしまう恐れもあります。
また、歯周病が進行している状態ではインプラント治療が行えないケースもあり、治療の妨げとなってしまうこともあります。
ドライマウス
唾液の分泌を抑制する働きがあるため、口腔内が乾燥しがちとなり、ひどくなるとドライマウスと呼ばれる状態にまでなる恐れもあります。
虫歯や歯周病リスクが高まるだけではありません。口腔内がヒリヒリとしたり、ネバつきや舌の表面に亀裂が生じたりするなど、痛みを伴う症状がでてしまうケースもあります。
歯や組織の変色
タールやメラニンの沈着などの影響により、歯や歯肉といった軟組織が変色することがあります。変色してしまった歯はホワイトニングで、歯肉はガムピーリングで改善することもできます。
動脈硬化症や狭心症、心筋梗塞
血液が固まりやすくなる作用があり、血栓ができやすく、動脈硬化症、狭心症、心筋梗塞などにもなりやすいと言われています。
歯医者で受けられる喫煙者のケア
どんなに丁寧に口腔内清掃を行っていても、歯磨きや歯間ブラシ、デンタルフロスといったセルフケアだけでは限界があります。
非喫煙者に比べて口臭の原因となる歯周病や虫歯リスクが高い喫煙者の方には、きめ細やかなプロフェッショナルケアが求められ、歯周病やむし歯、口臭を防ぐために定期的に検診を受けることが重要です。
歯科医院では、以下の処置を受けることができます。
クリーニング
歯磨きでは落としきれない、歯の表面にこびり付く汚れを専用の機械や研磨剤で磨いていきます。歯周病やむし歯の原因となる食べカスやプラーク(歯垢)、タールを取り除くことで、着色汚れが改善され口臭を防ぐこともできます。
スケーリング
プラーク(歯垢)が石灰化し、歯石となってしまうと、歯磨きでは除去できないため、スケーリングを行います。歯面や歯と歯肉の間にスケーラーを挿入し、歯にこびり付く歯石を除去していきます。歯石の表面はザラザラしているため、歯石を除去できずに放置したままでいると、その上にプラーク(歯垢)が溜まります。プラーク(歯垢)から歯石となることが繰り返され、歯周病や虫歯リスクをさらに高めてしまいます。
口臭だけではなく、口腔内の健康のためにも、定期的にスケーリングを行うことが重要です。
ホワイトニング
タバコを吸うことで、歯が黄ばんでしまうことがあります。タールの着色汚れをクリーニングで除去できたとしても歯自体が黄ばんでしまっている場合は歯を白くはできませんが、ホワイトニングで白くできます。
まとめ
タバコは嗜好品として親しまれています。しかし、気持ちがリラックスできるなどのメリットを除けば、口臭がきつくなるだけではなく歯周病や虫歯を助長させてしまいます。
口の健康を考えると、タバコを吸うことはデメリットしかありません。1日に吸うタバコの本数を減らしたり、口臭が抑えられる電子タバコに切り替えたりすることを、今回ご紹介したタバコの口臭を消す対策方法と合わせて検討してみてください。
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