口臭の原因は歯周病だけじゃない!胃の病気や内臓のトラブルが潜んでいる可能性も
口臭が発生する原因のほとんどは、口腔内のトラブルだと言われています。歯の磨き残しによって発生した細菌の塊である歯垢や、歯周病、虫歯(う蝕)、“臭い玉”とも呼ばれる膿栓などによって引き起こされています。
しかし、うんこ臭い・ドブ臭い・アンモニア臭・酸っぱい臭い・卵が腐ったような臭いといったひどい口臭には、胃や肝臓といった内臓の病気に起因するものもあります。
今回は「口臭と胃・内臓の病気」をテーマに、胃の病気や内臓のトラブルで発生する口臭の特徴や予防法などを、分かりやすくご紹介したいと思います。「口が臭い!」と思ったら原因を見極めて、深刻な事態を招かないためにも早めに対策しましょう!
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●この記事を書いた人●
グリーンハウス株式会社
代表取締役 横尾一浩医師や専門家の方々と口臭について意見を交わし、15年以上に亘り数多くの口臭対策商品をつくってきました。その経験の中で得た口臭に関する幅広い知識を、読者の皆さんのために余すことなくお伝えいたします。
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目次
口臭の原因は内臓にもあった!歯周病以外の口臭原因
人間には「生理的口臭」といって、唾液の量に影響されて発生する口臭があります。起床してすぐは口の中がねばついていたり、緊張する場面では唾液が分泌されず、口の中がカラカラになって口臭がきつくなったりという経験は、誰にでもあるのではないでしょうか。
生理的口臭は、唾液の量が減ることで口腔内の細菌が繁殖して発生するもので、歯磨きや食事、水分補給をすることで口臭を改善できます。唾液の分泌を促すために、ガムを噛むのもおすすめです。
ニンニクやネギ、ニラなどのニオイが強い食べ物を摂取することで一時的に口臭がきつくなることがありますが、こちらも歯磨きや時間の経過とともに口臭はなくなります。
ひどい口臭を発生させる原因のほとんどは、口の中のトラブルによるもの。虫歯(う蝕)や歯周病、歯槽膿漏、歯の磨き残しで増殖した細菌の塊である歯垢、喉の奥の方にたまる“臭い玉”こと膿栓(のうせん)、舌の表面に付着する舌苔(ぜったい)などです。
しかし、口臭の中には胃の病気や肝臓などの内臓がトラブルを抱えている場合に発生するものもあります。
胃が不調な時は、食べた物が消化不良の状態で体の中に長くとどまります。それが腸に移動して異常発酵し始め、その過程で悪臭物質が発生。悪臭物質は腸で吸収され、血液に溶け込んで肺から呼吸と共に排出されるのです。
この時の口臭は、大便の臭いであるインドールやスカトールという悪臭成分を含むため、うんこのような臭いがします。「口の臭いがうんこ臭い」と思ったら、胃の病気を疑いましょう。
また、肝機能の低下や腎臓のトラブルが原因で、口臭が発生することがあります。
口の中のケアで消えない、うんちのような口臭の原因は体の中に? >>詳しく読む
口を臭くさせる胃の病気について
うんこ臭い口臭や、ドブのような臭いが口からしている場合、その原因として胃の病気が潜んでいる場合があります。ここで注意したいのが、胃の病気により胃の内部に発生した悪臭が直接口の中に上がってくる訳ではない、という事です。
食道と胃の間には、食べた物の逆流を防止するために「噴門(ふんもん)」という防止弁があります。普段は括約筋の力で閉じられているため、胃の臭いが直接口の中に上がってくることはありません。
市販の胃腸薬で改善できる症状もありますが、胃がんなど専門医による治療が必要な病気もあります。口臭の原因が胃の病気であると思った時は、かかりつけ医や専門医、病院へ早めに相談しましょう。それでは、口臭の原因となる主な胃の病気を紹介します。
- ①胃炎・胃潰瘍
胃炎や胃潰瘍を発症すると、食べ物の消化不良が引き起こされ、体内で異常発酵することがあります。この異常発酵の時に発生するのが、大便の臭いの原因となる成分「インドール」や「スカトール」を含む悪臭ガス。このガスは血液に溶けて全身を巡り、やがて肺に到達して、呼吸として体外に排出されます。この時の口臭は、うんこの臭いや卵が腐ったような臭いです。
- ②胃がん
胃がんを発症させる原因として挙げられるのが、ピロリ菌の感染によるものです。ピロリ菌は正式名称をヘリコバクター・ピロリ菌と言い、胃粘膜に炎症を引き起こして慢性化させます。炎症が慢性化すると、胃粘膜の防御力が低下。食べ物からの刺激やストレス、発がん性物質などによる攻撃といった、本来は胃粘膜が防ぐはずのダメージを直接受けることとなり、胃痛や胃がんなど発症リスクを高めます。
1940年(昭和15年)以前に生まれた人のピロリ菌感染率は80%前後とも言われ、若い世代になるほど感染率が低下します。ピロリ菌の特徴は、胃の中でアルカリ性であるアンモニアのバリアを生成するところ。このアルカリ性バリアが胃酸を中和させて、ピロリ菌が胃の中で生き続けやすい環境を作ります。ピロリ菌から発生したアンモニアは胃の中に充満し、やがて血液に溶けて全身を循環し、肺から呼吸とともに排出。この息は、ツンと鼻につくアンモニア臭です。
また、ピロリ菌に感染すると胃の働きが悪くなり、食べ物の消化に時間がかかったり、消化不良を起こしたりする原因に。胃の中に残った食べ物は体内で発酵し、ひどい悪臭のガスを発生させます。この悪臭ガスは、卵が腐ったような臭いです。
- ③十二指腸潰瘍
十二指腸潰瘍は、胃酸によって十二指腸の粘膜がただれ、内部からえぐられる病気です。十二指腸潰瘍を発症した場合にも、胃の消化不良が起こり、卵が腐ったような臭いやドブのような臭いが口臭として排出されます。
- ④逆流性食道炎
胃で消化される途中の食べ物が、食道を逆流するのが逆流性食道炎です。胃と食道の境目は、周囲の筋肉で軽く絞められた形になっています。何らかの要因で、この境目が開いた状態のままになると、胃液が逆流しやすくなるのです。強力な酸である胃液が逆流すると、食道は胃酸によってただれや潰瘍を発症します。
逆流性食道炎が起こる原因は、ストレスや早食い、肥満、猫背などさまざま。これまで日本人には少ない疾病でしたが、食生活の欧米化や、デスクワークによって長時間背中を丸めた状態で過ごす人が多くなったことで、罹患する人が増加。逆流性食道炎を発症した人の多くは、唾液の分泌量が低下し、口の中が乾燥した「ドライマウス」状態になります。 逆流性食道炎によって発生する口臭は、胃酸特有のツンとした刺激がある酸っぱい臭いです。
胃だけじゃない!内臓トラブルが口臭を発生させる!
口臭を発生させるのは、胃だけではありません。肝臓や腎臓などの臓器も、機能が低下することで口臭の原因となることがあります。ここでは、口を臭くさせるトラブルや病気にかかる可能性のある内臓についてご紹介します。
- ①肝臓
肝臓の役割は、有害物質が体内に入った時に分解して無害化することです。肝臓が分解する成分の代表格はアルコールですが、実はタンパク質も肝臓によって分解されています。この分解する過程で発生するのが、アンモニア。健康な状態の肝臓はアンモニアを無毒な尿素へと変化させて、体外へと排出します。
しかし肝機能が低下すると、アンモニアを尿素へ変化させられなくなります。分解されなかったアンモニアはそのまま血液に溶け込み、肺へと送られます。アンモニア臭のする血液の影響で、排出される息もアンモニア臭くなるのです。呼吸だけでなく、体臭もアンモニア臭くなります。
- ②腎臓
腎臓は、体内で発生した老廃物や余分な水分・塩分をろ過して、尿として体外に排出する臓器です。腎臓が正常に働くことで、体内の水分量やカリウムなどのミネラルバランスが保たれています。
腎機能が低下すると、体内に必要なもの・不要なものを選別するろ過機能の働きが低下。肝臓で分解されて体外に排出されるべき尿素が、血液中に多く含まれた状態となり、尿素に由来するアンモニア臭が口臭として体外に排出されます。 肝機能低下によるアンモニア臭の口臭よりも悪臭度は低いものの、臭いことに変わりはありません。
- ③腸
便秘が続くと、腸内環境の悪化にともなって増加した悪玉菌が腸内で食べ物を腐らせ、アンモニアや硫化水素などの悪臭を放つ成分が含まれた有毒なガスを発生させます。この悪臭ガスは腸から吸収され、血液にのって全身を巡り、肺へ到達。肺から腐ったような臭いやうんこ臭い息として排出されます。それだけではありません。悪臭ガスを含んだ血液は全身を回るため、口臭だけでなく体臭にも影響を与えます。
口臭の原因となる胃の病気の予防法
口臭を発生させる原因となる胃の病気を防ぐためには、胃に優しい食べ物を摂取して、よく噛んで食べることが大切です。胃に負担をかける食べ物の例としては、唐辛子や生姜などの香辛料を大量に使用した料理や、塩分が多い食べ物、揚げ物、豚バラ肉など脂身が多い肉、酢の物や柑橘類などの酸味が強いもの、アルコール、コーヒーなどです。
特に注意したいのが、アルコールと脂質の組み合わせ。キンキンに冷えたビールに熱々の唐揚げという組み合わせはとても魅力的ですが、胃にとっては大きな負担をかける食べ合わせなのです。
また、タケノコなど食物繊維が多いものを食べすぎることも胃にとっては大きな負担。食物繊維は便秘解消に役立ちますが、摂りすぎは胃にも腸にも悪影響を与えます。
逆に、胃に優しい食べ物は、うどんや白身魚、鶏ささみなどの脂質が少ない肉、豆腐、白菜やジャガイモなど食物繊維が少ない野菜類です。
これらの胃に負担をかけない食べ物を、ゆっくりよく噛んで食べれば、消化が良くなり胃の中に長い時間食べ物がとどまっている状態を防止できます。
胃炎や胃潰瘍など、胃のトラブルを予防するためには、ストレスをためず規則正しい生活を送ることが重要です。また、タバコは胃の健康を脅かす大敵。お酒が入ると、つい一服…と手が飲みそうですが、そこはグッと我慢。胃のためにも禁煙を視野に入れましょう。
口を臭くする内臓トラブルの予防法
口臭の原因となる内臓トラブルの中には、重篤化すると命に関わる病気もあります。歯磨きや舌苔を取り除いても口臭が改善されない場合には、内臓の病気を疑いましょう。早めに気付くことで、重篤化を予防できます。
しかし、一番良いのはこういった内臓の病気を予防すること。口臭を発生させる内臓の病気を防ぐ方法をご紹介します。
- ①肝臓
“沈黙の臓器”とも呼ばれる肝臓は、病気を発症してもかなり進行しないと自覚症状があらわれません。肝臓病を防ぐための近道は、生活習慣を改めること!アルコールを控え、栄養バランスが良い適量の食事を規則的に食べましょう。
また、食品添加物は肝臓で分解されるため、多く摂取すると肝臓に負担をかけます。コンビニ食や外食の場合も、できるだけ食品添加物が含まれていないメニューを選ぶ方が賢明です。
肝臓に良い食べ物の代表例は、塩分を控えた枝豆や納豆、シジミ、牡蠣、牛乳、カボチャなど。枝豆や牡蠣はアルコールが欲しくなりそうですが、肝臓のためにも控え目に。
ちなみに脂肪は肝臓にも溜まり、肝機能を低下させます。肥満傾向にある人はウォーキングやジョギング、水泳といった有酸素運動でのダイエットを考えてみてはいかが。
- ②腎臓
腎臓の機能を低下させる主な原因は、高血圧や高血糖などの生活習慣病です。腎臓は血液をろ過して体内の余分な塩分や水分を尿として体外に排出する役割をもつ臓器であるため、血液や血管に異常があると腎臓への負担が重くなります。
腎臓への負担を減らして腎機能の低下を予防するためには、暴飲暴食を避け、適切な量の塩分を摂取することです。おすすめの食べ物は、カリウムが多く含まれる切り干し大根や、バナナ、メロン、ひじきなど。なお、腎機能が低下している状態でカリウムを摂取しすぎると「高カリウム血症」になる可能性がありますので、医師に相談して摂取するようにしてください。
また、肥満傾向にある人やタバコを吸う人、お酒が好きな人は、腎臓へ大きな負担をかけているかもしれません。食生活や生活習慣を見直して、腎機能の低下を予防しましょう。
- ③腸
腸の健康には、腸内環境を整えることが第一です。「腸内環境が整っている」とは、腸内細菌の善玉菌が優勢に働いている状態のこと。腸内細菌には、腸の消化吸収を助けたり、免疫力を高めるように作用したりするビフィズス菌などの「善玉菌」、腸内で食べ物を腐らせたり、発がん性物質を生成したりする大腸菌などの「悪玉菌」、身体が弱ると腸内環境を悪化させる「日和見菌」が存在します。
健康的な腸内環境を保つのに大切なのが、善玉菌の数が悪玉菌よりも多い状態を保つこと。善玉菌を増やす食べ物の代表例として挙げられるのが、ヨーグルトと納豆。ヨーグルトには乳酸菌やビフィズス菌が豊富に含まれています。納豆についている納豆菌は、善玉菌のエサになって善玉菌を増やします。また、善玉菌のエサとなるオリゴ糖が含まれる食べ物も、積極的に摂取を。オリゴ糖を多く含有するのは、大豆やゴボウ、アスパラガス、バナナなどです。
善玉菌と悪玉菌は、加齢とともに悪玉菌の方が増加していきます。ヨーグルトを毎日食べるようにして、規則正しい生活や栄養バランスがとれた食事、適切な運動習慣で腸内環境を整えましょう。
口臭の変化で胃や内臓の病気に気付こう!
歯磨きや歯垢・歯石除去、舌苔の掃除など口腔内のケアを十分に行っても口臭が改善しないと、心配になりますね。
胃や内臓の病気が由来の口臭であれば、病気の治療と共に改善されるはずです。胃や内臓のトラブルが口臭の原因になることはまれですが、体調に異変を感じた場合は、早めに医師へ相談を。
定期的に病院で健康診断を受けるのも大事です。健康的な毎日を送って、口臭を予防しましょう!
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