学名 | Bifidobacterium longum |
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和名 | ビフィズス菌BB536 |
英名 | Lactobacillus bifidus |
●この成分ページを書いた人●
グリーンハウス株式会社
代表取締役 横尾一浩医師や専門家の方々と口臭について意見を交わし、15年以上に亘り数多くの口臭対策商品をつくってきました。その経験の中で得た口臭に関する幅広い知識を、読者の皆さんのために余すことなくお伝えいたします。
ビフィズス菌BB536は、健康な乳児の大腸から発見されたBifidobacterium longum(ビフィドバクテリウム・ロンガム)というヒトのおなかに生息するビフィズス菌で、1969年に森永乳業株式会社(以下、森永乳業)が発見しました。
ビフィズス菌は全ての動物の腸内に生息しているといわれており、現在ビフィズス菌は30~50種類に分類することができます。
現在、ヒトから検出されたビフィズス菌はその他の動物の腸内からはほとんど検出されず、反対に動物から検出されたビフィズス菌はヒトの腸内には基本的にヒトの腸内にはすみつきません。そのため、ヒトの腸内環境に適しているビフィズス菌は、ヒトから発見されたビフィズス菌です。
ただ、一般的にビフィズス菌は酸や酸素に弱く、口から摂取しても大腸に到達する前に胃酸で死んでしまう場合がほとんどといわれています。しかし、ビフィズス菌BB536は他のビフィズス菌に比べて酸や酸素に強く、生きて大腸に到達できることに加え、ビフィズス菌としての高い機能性の点でも注目されています。
森永乳業による長年にわたる研究の結果、ビフィズス菌BB536は、食品や医薬品などの安全性や有効性を取り締まる政府機関であるアメリカ食品医薬品局(FDA:Food and Drug Administration)の審査を経て、GRAS認証を取得しました。GRASとは、Generally Recognized As Safe(一般に安全とみなされている)の頭文字で、「科学的根拠に基づいて専門家により安全性が認められたもの」という意味です。
日本で30年以上の販売実績を持つビフィズス菌BB536の商品は、現在世界30カ国以上でヨーグルトやサプリメント、育児用ミルクなどに利用され注目を集めています。
一般的に、ヒトの体内には、さまざまな働きをもつ100兆個以上もの菌が生息しています。菌は種類ごとに小さな集合体をつくっており、その様子が花畑や叢(くさむら)に見えることから、「腸内フローラ」や「腸内細菌叢(そう)」と呼ばれます。
腸内フローラは、腸内環境を整える働きを持つ「善玉菌」、たんぱく質を分解・腐敗させてガスや毒素を生み出す「悪玉菌」、どちらか多いほうに味方する「日和見菌」が常にひしめき合って構成されており、整腸作用などの働きをもつビフィズス菌は善玉菌に含まれます。
正常な腸内では善玉菌2割、悪玉菌1割、日和見菌7割のバランスが保たれていますが、ビフィズス菌は6 0歳を超えると急激に減少していき、さらに脂質を多く摂るなどの偏った食事が続くと、腸内で悪玉菌が大量に増殖します。
悪玉菌が作り出す有害物質の中には悪臭の元となるガスも含まれ、腸管から吸収されることで、臭いだけでなく不調や病気、老化を促進させるなどの悪影響を体に及ぼします。
ビフィズス菌はこの悪玉菌の増殖を抑える働きを持ち、これによって腸内は善玉菌が優勢となり、腸内フローラのバランスも保たれます。
ビフィズス菌を増やすためには、栄養バランスの良い食事や、ストレスを溜めない生活を送ることも大事ですが、意図的に摂取することも必要です。
ビフィズス菌と乳酸菌は、腸内環境に良い影響を与える点で混合されがちですが、異なる菌種と菌株(きんかぶ)に属し、その性質や働きも全く違います。
菌種とは細菌の種類を表すもので、そこからさらに細かく分類したものを菌株といいます。
ビフィズス菌と乳酸菌の大きな違いとして、乳酸菌が乳酸しか生み出さないのに対して、ビフィズス菌は乳酸と酢酸を作ります。乳酸は腸内を酸性にすることで腸の運動を促しますが、酢酸にはより強い殺菌力があり、悪玉菌の増殖を抑えることができるのです。
また、そもそもヒトの大腸内における乳酸菌とビフィズス菌の割合も、乳酸菌が0.1%に対してビフィズス菌は99.9%を占めているため、ビフィズス菌の方がより腸内に大きな影響を与える力を持っています。
腸内は善玉菌が優勢であることでバランスが保たれます。ビフィズス菌BB536は強い殺菌力をもつ酢酸を生み出し、悪玉菌が棲息しにくい環境を作り出すことで腸内フローラを整えます。
21名の健康な成人が食事内容を基本的に肉・卵に限定して5日間過ごし、そのうちの11名は食事に加えてビフィズス菌BB536を含むヨーグルトを摂取しました。
その結果、ビフィズス菌BB536を摂取したグループは、糞便に含まれるビフィズス菌数が保たれ、同時に悪玉菌であるビロフィラ菌(Bilophila)の増加が抑えられました。☆1
《参考》☆1
【森永乳業ビフィズス菌サイト】
https://bifidus.jp/about/
便秘傾向者と下痢傾向者が、ビフィズス菌BB536を含むヨーグルトを4週間摂取した結果、便秘傾向者は摂取1週間後から排便回数が増えました。
ビフィズス菌BB536には、腸内の余分な物を押し出す蠕動(ぜんどう)運動を活発にする働きがあり、便秘傾向者をスムーズな排便へと導くことが確認できました。
下痢傾向者に対する効果では、摂取1週間後から排便回数が減り、便の状態も改善され、ビフィズス菌BB536は便秘だけでなく下痢にも効果的に働くことが分かりました。☆2
《参考》☆2 ビフィズス菌BB536による便の変化
【森永乳業HP】
https://www.bb536.jp/morinagamilk/index.html
潰瘍性大腸炎とは、大腸の最も内側にある粘膜が傷つき、ただれることで引き起こされる疾患です。
健康な人の腸内と潰瘍性大腸炎患者の腸内を比較すると、潰瘍性大腸炎患者の腸内フローラのほうが崩れていることが分かっており、腸内細菌の乱れが腸内の炎症の原因ともいわれています。
潰瘍性大腸炎患者14名が治療薬とともにビフィズス菌BB536を24週間摂取し、重症度を客観的に把握するCAI(Clinical Activity Index)スコアを用いて検証した結果、12名の症状が緩和したことが確認されました。☆3
《参考》☆3
【オックスフォード大学HP】
https://academic.oup.com/ibdjournal/article/15/11/1617/4643415
体全体の免疫細胞の約60%は腸にあり、免疫細胞は腸内環境を整えることで活性化します。そのため、生きて腸まで届くビフィズス菌BB536は免疫力を高める上で、効率的な菌といえます。
ウイルスや花粉などが体内に入り込むと、これらを異物と捉え攻撃する防御システムを免疫といいます。この免疫が、特定の成分に対して過剰な反応を起こすことをアレルギーといい、花粉症もその1つです。
花粉症患者44名が、スギ花粉が飛び始める約1か月前からビフィズス菌BB536粉末を摂取した結果、花粉症による鼻詰まりやくしゃみなどの症状が改善されました。
ビフィズス菌BB536の摂取による腸内フローラへの影響が、間接的に体内の免疫を活性化させます。そのため、花粉症などのアレルギーに効果的であるといわれています。
また、白血球の一種である好酸球(こうさんきゅう)は、アレルギー反応が起きた部位に集まる性質があり、ビフィズス菌BB536の抗アレルギー作用の指標とすることができます。☆4
《参考》☆4 ビフィズス菌BB536による抗アレルギー作用
【森永乳業HPビフィズス菌サイト】
https://www.bb536.jp/morinagamilk/morinagamilk04.html
悪玉菌を代表する毒素産生型フラジリス菌(Bacteroides fragilis)は、体内で増えすぎると炎症性の下痢を引き起こし、近年の研究では、大腸がんの因子であることも確認されています。
ビフィズス菌BB536の持つ腸内除菌作用は、毒素産生型フラジリス菌数を抑えます。
体内に毒素産生型フラジリス菌をもつ32名がビフィズス菌BB536含有牛乳、またはビフィズス菌BB536を含まない牛乳を8週間摂取した結果、摂取前は糞便1gあたりの毒素産生型フラジリス菌が平均1,000万程度検出されましたが、ビフィズス菌BB536を摂取した人では摂取後は約100万にまで減少しました。☆5
また、ラットを用いた実験では、大腸だけでなく肝臓や小腸の発がん率低下も確認できました。☆6
《参考》☆5 ビフィズス菌BB536による大腸がん予防
【森永乳業HP】
https://www.bb536.jp/morinagamilk/morinagamilk02.html
《参考》☆6
【AACR発表資料】
https://cancerres.aacrjournals.org/content/canres/53/17/3914.full.pdf
ビフィズス菌BB536は、病原性大腸菌の1種であるO-157が作る毒素の吸収を抑える効果があります。
O-157は動物の腸内に生息しており、人間が食用とする牛や豚などにも潜んでいます。人間がO-157を摂取してしまった場合、腹痛や下痢を引き起こし、最悪の場合死に至ります。
ビフィズス菌BB536が産生する酢酸には、腸の粘膜を保護し丈夫にする作用があり、酢酸の働きが毒素の吸収を阻害します。
O-157をマウスに投与した実験では、約一カ月以内に全てのマウスが死亡したのに対し、ビフィズス菌BB536をあらかじめ定着させたマウスでは、1匹も死亡せず、ビフィズス菌BB536にはO-157の感染を防ぐ働きがあることが確認できました。
また、ビフィズス菌BB536はO-157だけでなく、インフルエンザの発症予防としても注目を集めています。☆7
《参考》☆7ビフィズス菌BB536によるインフルエンザ発症予防
【ISBA発表資料】
https://www.tandfonline.com/doi/pdf/10.1271/bbb.90749?needAccess=true
脂質の一種であるコレステロールは、体のあらゆる部分に広く分布していて、ホルモンの産生や細胞膜を作る役割を果たし、体にとってなくてはならない存在です。
しかし、血中のコレステロールが増えすぎると、血液の流れが悪くなることで動脈硬化を引き起こす可能性もあり、血中コレステロール濃度を適正に保つことが必要です。
成人男女43名に、ビフィズス菌BB536が10億以上含まれたヨーグルトを1日2個摂取してもらった結果、普通のヨーグルトを摂取した場合と比べて、血中総コレステロール値が顕著に低下しました。☆8
《参考》☆8
ビフィズス菌BB536によるコレステロール低下作用
【腸内細菌学雑誌発表資料】
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jim/24/4/24_4_281/_pdf?_ga=2.18636409.1906502381.1608106668-1913849131.1608106668
ビフィズス菌BB536が乳酸と酢酸を生み出すことで、腸内のpHは低下します。腸内環境を表す腸内pHは、数値が低いほど酸性で、高いほどアルカリ性であり、腸内が酸性になることでカルシウムなどのミネラル吸収作用が働きます。
牛乳などに含まれるミルクカルシウムだけを摂取した場合と比較すると、ビフィズス菌BB536を併せて摂取したほうがカルシウム吸収率は上がり、ビフィズス菌BB536には骨強度増強作用があるといえます。
1969年に森永乳業がビフィズス菌BB536を発見してから、多くの研究が行われてきました。
1970年代から一気に研究を加速させ、飲料に混ぜた状態や、粉末でのビフィズス菌BB536の効果が確認されました。
1990年以降、海外でのビフィズス菌BB536販売計画が進み、ビフィズス菌BB536やプロバイオティクスという言葉がアメリカをはじめヨーロッパ、東南アジアに浸透していきました。
題名 | 掲載 | 発行日 |
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Bifidobacterium longum BB-536の毒性試験 | 応用薬理 | 1979 |
ビフィズス菌及びラクチュロースの卵巣摘出骨粗鬆症モデルラットの大腿骨に対する骨強度増強効果 | ビフィズス | 1994 |
Bifidobacterium longum BB536を含む非発酵乳酸菌飲料の排便回数および便性状に及ぼす影響 | 健康・栄養食品研究 | 2001 |
Bifidobacterium longum BB536含有ドリンクタイプヨーグルト摂取による便秘傾向健常者の排便回数および排便性状に及ぼす影響 | Jpn.J. Lactic Acid Bact | 2007 |
最近話題の脂肪酸に強くなる:腸内細菌との関係は?-腸内細菌叢が変わると血中脂質はよくなりますか? | 肥満と糖尿病 | 2011 |
ビフィズス菌BB536の摂取が高齢者の免疫・腸内環境に及ぼす影響 | Food Style | 2014 |
ビフィズス菌の免疫調節作用とその作用機序に関する研究 | 腸内細菌学雑誌 | 2014 |
その他多数研究データ、論文あり
ビフィズス菌含有商品は、ビフィズス菌BB536以外にもたくさん販売されています。
ビフィズス菌BB536の商品を購入する際は、パッケージにBB536と記載されているかきちんと確認しましょう。
また、ビフィズス菌BB536が含まれる商品ではヨーグルトが有名ですが、乳製品が苦手な方や、一度に摂取目安量を食べきれない場合は、手軽に摂取できるサプリも効果的です。
ヨーグルトとサプリでは、ビフィズス菌BB536の含有量が変わるため、どちらが続けやすいのか口コミ情報なども比較しながら、選択することをおすすめします。
※2021年1月現在調べ
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