九州の魅力を載せて九州を一周する
JR九州の新しい観光列車誕生が待ち望まれていた2020年。コロナ禍に加え、7月の豪雨災害で九州観光は低迷。「36ぷらす3」は、まさに地域振興の期待を背負ってのデビューとなりました。
「36ぷらす3」は、木曜日に博多駅を出発し、5日間かけて九州を一周するように運行が組まれています。
「木曜日ルート」は博多~熊本~鹿児島中央、「金曜日ルート」は鹿児島中央~宮崎、「土曜日ルート」は宮崎空港・宮崎~大分・別府、「日曜日ルート」は大分・別府~小倉~博多、「月曜日ルート」は博多~佐賀~長崎の区間です。
全ルートの走行距離は1198キロ。世界一の壮大な「わ」をつくり、世界一大きな39(サンキュー)「感謝」の輪を広げることを願って、九州のエピソードがたっぷり詰め込まれました。
テーマは「ディスカバー九州」。沿線の有名料理店の食事や特産品を楽しめたり、秘境駅に停車したり、それぞれのルートに地域ならではの魅力やおもてなしが盛りだくさんです。
1号車に乗車
1号車は畳敷き。靴は脱いでロッカーへ。
個室を利用
入ると乗務員さんがご挨拶に。
プレゼント
マスクケースと「金曜日ルート」の案内パンフレットをいただきました。
九州の味覚と車窓の眺めを楽しむ
「金曜日ルート」の見どころは、車窓から眺める錦江湾と桜島の絶景。
今回乗車したのは、鹿児島中央駅を12時16分に出発し、宮崎駅へ15時57分に到着する「金曜日ルート」。
ホームで待ち構えていると、真っ黒な787系「36ぷらす3」が姿を見せました。このチャンスを逃すまいと、乗客はもちろん、鉄道ファンもカメラを構えます。6両編成の列車はゆっくりとホームに入り停車。黒く艶光りした外観、エンブレムの豪華さに胸が高まります。
取材チームが乗車したのはグリーン個室の1号車。列車に乗り込むと、乗務員さんから靴を脱ぐように案内が。なんと、1号車の客室は畳敷になっているのです。個室に入ると、思わず「おしゃれ~!」と声に出してしまうほど、調度品や内装が美しく、心が躍ります。
鹿児島中央駅を出発し、しばらくすると、列車は錦江湾沿いを走ります。車窓から雄大な桜島を眺めているとランチタイム。ランチプランにはお食事が付いており、沿線の旬の味覚を堪能できます。お料理のひとつひとつが繊細で、とても美味しくいただきました。
大川組子
大川組子の障子戸越しにのぞく桜島は一層美しい。
個室プランのランチ
料理人の技が光る鹿児島の食材を使ったこだわりフレンチ。
まさに贅沢
車窓を楽しみながらランチ
鉄道ファンコラム
黒い787として蘇る
JR九州では観光列車のことを「デザインと物語のある列車」という意味を込め、「D&S(デザイン&ストーリー)列車」と呼んでいる。2017年誕生の「かわせみやませみ」に続くD&S列車が「36ぷらす3」だ。
デザインは、これまでもJR九州の車両デザインを手掛けてきた水戸岡鋭治氏。平成23年の九州新幹線が全線開業するまで鹿児島本線を走っていた「特急つばめ」787系の車両を全面的に改造した。787系はダークグレーの外観にホテルを思わせるモダンな内装の列車であったが、「36ぷらす3」は漆黒のメタリックな外観に、和の趣を活かしたデザイン空間となっている。
クルーズトレイン「ななつ星 in九州」にも用いられた福岡県の大川組子を随所にあしらい、生産量日本一を誇る熊本県八代産のい草を使った畳を採用。列車そのものが、九州をアピールする787系なのである。
36ぷらす3
「弥五郎太鼓」の太鼓たたきに飛び入り参加!
おもてなしの中に沿線の魅力がいっぱい
「36ぷらす3」は目的地まで急ぐ列車ではありません。九州の魅力をゆっくり楽しむ観光列車です。
乗車した「金曜日ルート」は、大隈大川原駅で約50分停車。自然あふれるのどかな駅で、地元の皆さんが歓迎ムード全開で迎えてくれます。
心温まる歓迎
鹿児島県曽於(そお)市の「大隅大川原駅」で約50分停車。地域の皆さんの歓迎に心温まります。
弥五郎どんまつり
「大隅大川原駅」の駅前では伝統行事「弥五郎どんまつり」で奉納される「弥五郎太鼓」による盛大なおもてなしが。
そお星人
曽於市のゆるキャラ「そお星人」と一緒に。
記念スタンプ
途中下車の駅には、記念のスタンプ台も。
キッチンカー「たか森カフェ」
駅を出るとキッチンカー「たか森カフェ」などがお待ちかね。ランチなしの座席の方はここで軽食もOK。
地元の特産品
宮崎県都城市の「青井岳駅」に停車。駅では地元の特産品やお菓子の販売も。
九州をめぐる旅
「36ぷらす3」乗車ガイド
九州7県をめぐる運行ルート
木曜日 | 博多→熊本→鹿児島中央 |
---|---|
金曜日 | 鹿児島中央→宮崎 |
土曜日 | 宮崎空港・宮崎→大分・別府 |
日曜日 | 大分・別府→(門司港)→小倉→博多 |
月曜日 | 博多→佐賀→長崎 / 長崎→佐賀→博多 |
5つのものがたり
5つのルート各々に地元の食材にこだわったランチ(ディナー)プランがあります。また途中の停車駅や車内で伝統文化、特産品とふれあえる、おもてなしや体験イベント等が用意されています。
- 木曜日ルート「赤の路」 福岡~熊本~鹿児島
- 九州の玄関口、博多から、熊本・鹿児島へ向かいます。「八代駅」からは肥薩おれんじ鉄道線を運行。「玉名駅」と「牛ノ浜駅」で地域の特産品を紹介。東シナ海の絶景が楽しめます。
- 金曜日ルート「黒の路」 鹿児島~宮崎
- 錦江湾と桜島を眺めながら昼食をとり、霧島山麓へ。途中停車する「大隅大川原駅」と「青井岳駅」は自然に囲まれた静かな駅。地域の方のおもてなしや、沿線の一品の販売もあります。
- 土曜日ルート「緑の路」 宮崎~大分
- 宮崎市内を出発後、日向灘をのぞみながら延岡、大分へ。「延岡駅」では地域特産品を販売。秘境駅「宗太郎駅」に特別停車。佐伯市の「重岡駅」でも特産品の販売があります。
- 日曜日ルート「青の路」 大分~福岡
- 大分、別府を出発後、別府湾を眺めながら杵築へ。大分の自然豊かな海、山、川を楽しみながらランチタイム。途中停車は「杵築駅」と「中津駅」。「門司港駅」では約30分の自由散策の時間が設けられています。
- 月曜日ルート「金の路」 福岡~佐賀~長崎
- 博多を出発後、昼食をとりながら長崎へ。日本酒の蔵元が集まる「肥前浜駅」に途中停車。有明海の眺めを楽しむルートです。また、長崎から博多に向かう「36ぷらす3」唯一のディナータイム運行も。
ランチプラン・ディナープラン料金
※大人(12歳以上)1名様あたり
曜日 | 乗車駅 | 降車駅 | ランチプラン(個室) | ランチプラン(座席) |
---|---|---|---|---|
木曜日 | 博多 | 鹿児島中央 ※鮨プラン |
25,500円 | 20,500円 |
30,000円 | - | |||
金曜日 | 鹿児島中央 | 宮崎 | 17,000円 | 12,000円 |
土曜日 | 宮崎空港・宮崎 | 大分・別府 | 19,500円 | 14,500円 |
日曜日 | 大分・別府 | 小倉・博多 | 18,500円 | 13,500円 |
月曜日 | 博多 | 長崎 | 18,500円 | 13,500円 |
ディナープラン | 長崎 | 博多 | 18,500円 | 13,500円 |
2020年12月25日時点の情報です。
各ルートの出発時刻、工程、空き状況、2021年3月以降の運行情報など、詳しくはホームページをご覧ください。
● 1号車個室(定員4名)は3~4名様、2号車個室(定員6名)は4~6名様、3号車個室(定員2名)は1~2名様でのご利用に限ります。但し、3号車個室(定員2名)を1名様でご利用の場合は追加料金(木曜日19,000円、金曜日10,000円、土曜日14,000円、日曜日12,500円、月曜日11,500円)が必要です。
● こども料金、座席のみ(食事なし)の料金など、詳しくはホームページをご覧ください。