令和の里 大宰府まほろば紀行

九州では最も歴史のある稲荷社。

知っておきたい
太宰府天満宮の由縁

 太宰府は、福岡では誰もが一度は訪れたことがある馴染みの観光地です。主目的は「太宰府天満宮」への参拝。初詣はもちろん、受験シーズン前は合格祈願にもたくさんの参拝客が訪れます。
 参道のつきあたりに太宰府天満宮案内所があります。今回は「太宰府天満宮ガイドサービスの会」のボランティアガイドさんに境内を案内していただきました。
 太宰府天満宮は知っての通り、菅原道真公をお祀りしています。学問の神様、天神様として親しまれていますが、天満宮の歴史は道真公の悲しい物語が出発点でした。

参道つきあたり右側にある「東風吹かばの歌碑」。

幼いときから聡明で文才に秀でた道真公は、官人として出世も早く右大臣となりましたが、左大臣の藤原時平の政略によって身に覚えのない罪で大宰府に左遷させられたのです。  そのときに詠んだのが、かの有名な歌。
「 東風吹かば 匂ひおこせよ 梅の花
 あるじなしとて 春な忘れそ 」
(東の風が吹いたなら、その香りを送っておくれ、梅の花よ。主人がいなくなっても春を忘れないでおくれ。) 天満宮の本殿横にある「飛梅」は、道真公を慕って都(平安京)から一夜で飛んできたと伝えられています。
 大宰府にやってきた道真公は約2年謹慎の身となって榎社で暮らし再び都の地を踏むことなく903年に59歳で亡くなりました。亡骸を牛車に乗せて進んだところ、牛が伏せて立ち止まって動かなくなったそうです。道真公のご遺志だろうということでその場所に埋葬され、墓所と社が建てられました。

 さて鳥居をくぐり「心字池」にかかる太鼓橋を渡ると、楼門が見えてきます。手水舎で手や口を清め、本殿にお参りしました。そして、梅の見頃が楽しみな北神苑を抜け、石段を登って小高い丘の「天開稲荷社」へ。ここもパワースポットなので時間にゆとりがあればぜひ足を運んでください。

見どころポイント

  • ■御神牛(ごしんぎゅう)

    道真公が丑年生まれであることや、亡骸を運んだ等の逸話から、天神様のお使いとして崇められています。「なで牛」とも呼ばれ「頭をなでると賢くなる」「体の不調なところをなでると回復する」とも言われ、信仰の対象となっています。実は太宰府天満宮の境内には11体も。探し歩くのも楽しいですね。

    天満宮入り口に鎮座している御神牛は目立つので観光客にも人気。皆が写真を撮って、なでるのでピカピカです。一番古い御神牛は楼門の横に。なでるとご利益がありそう!

  • ■梅

    境内には約6000本の梅の木があり、2月から3月にかけて白梅、紅梅、早咲き、遅咲き、一重、八重の梅の花が咲き競います。最も有名なのは本殿の右側にある「飛梅」。東風吹かば…と道真公が歌を詠み、都から一夜で飛んできたという伝説で知られています。

    飛梅は新春を迎えるといち早く八重咲の白い花を咲かせるそうです。梅の季節にぜひ再訪したいです!

古都の面影をしのんで
太宰府めぐりを。

 新元号「令和」の発表で太宰府天満宮以外の史跡や名所にも目が向けられるようになりました。せっかくなので古都の趣を楽しむべく、和装に着替えて人力車で太宰府散策を楽しむことに。

 「観世音寺」は古代九州の寺院の頂点にあったお寺だそうです。道真公が漢詩「不出門」で「観世音寺の鐘を聞くばかり…」と詠んだ、日本最古の梵鐘(国宝)があります。大晦日に響き渡る除夜の鐘、1300年前の人も耳にしたかと思うと何と感慨深いことでしょう。
 観世音寺のお隣が「戒壇院」。奈良時代、出家者が僧侶になるのに必要な戒律を授かる場所だったそうです。

 つぎは歴史の散歩道と呼ばれる細道を通って「坂本八幡宮」へ。本当にこの場所に「梅花の宴」が開かれた大伴旅人邸があったのでしょうか。近くの「大宰府政庁跡」と共に、元号発表以来、人気の観光スポットになりました。
 政庁跡の「大宰府展示館」に行くと、発掘で出土した遺構そのものを見学でき、西の都として栄え、梅花の宴が開かれた当時の様子をうかがい知ることができます。

 天満宮を少し離れると、静寂な古都の雰囲気が漂います。紅葉が美しい季節で、人力車の上から眺める風景は格別でした。
福岡市からほんの1時間弱で行ける太宰府。本当に“まほろば”というコトバが似合う万葉のまちです。

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大宰府のあゆみ 白村江の戦いに敗れたことから、大陸からの侵攻に備えるため九州に要塞が築かれたのが始まり。やがて律令国家として体制が整うに従い、外交と九州地方を治める西の都として発展、「遠の朝廷」と呼ばれました。

大宰府観光おでかけガイド
1 宝満宮竈門神社
神武天皇のご生母、玉依姫命(たまよりひめのみこと)を祀る。縁結びの神様として女子人気が高く、デザインやアイデアにあふれた素敵なお守りが色々。
●西鉄「太宰府駅」下車徒歩40分/まほろば号「内山」下車すぐ
●TEL:092-922-4106
2 太宰府天満宮
大宰府に左遷され、この地で亡くなった菅原道真公を祀る。本殿はその墓所に建立、天神様として信仰を集めている。
※ボランティアガイドが境内を案内可(無料)。事前にご予約を。
●西鉄「太宰府駅」下車徒歩約5分
●TEL:092-922-8225
3 九州国立博物館
東京・京都・奈良に次ぐ日本で4番目の国立博物館。太宰府天満宮の境内とはエスカレーターと動く歩道でつながる。
●西鉄「太宰府駅」下車徒歩約10分
●休館日:毎週月曜(祝日・振替休日の時は翌日)・年末
●入館料:常設展は一般430円・大学生130円 ※特別展は別料金
●TEL:050-5542-8600
4 光明禅寺
天満宮の参道を抜け右折。天神様と禅宗の教えが結びつき、鎌倉時代に創建。苔寺の名で親しまれている、石庭が美しいお寺。
●西鉄「太宰府駅」下車徒歩約5分
●拝観料:200円
5 観世音寺(国史跡)
筑紫で崩御された斉明天皇のため天智天皇が創建。日本最古といわれる梵鐘(国宝)と宝蔵の巨大な仏像は必見。
●西鉄「太宰府駅」下車徒歩20分/まほろば号「観世音寺前」下車すぐ
●宝蔵 休館日:無休
●拝観料:大人500円・高大学生300円・小中学生150円
●TEL:092-922-1811(観世音寺 宝蔵)
6 戒壇院(国史跡)
戒壇とは僧尼に戒律を授ける所。奈良時代に観世音寺に置かれた。現在は禅寺である。
●西鉄「太宰府駅」下車徒歩20分/まほろば号「観世音寺前」下車すぐ
7 大宰府展示館
大宰府政庁跡で発掘された遺構や、政庁の復元模型、梅花の宴の再現ジオラマなどを展示。
●西鉄「都府楼前駅」下車徒歩15分/まほろば号「大宰府政庁跡」下車すぐ
●休館日:毎週月曜(祝日・振替休日の場合は翌平日)、年末年始
●入館料:一般200円・高大学生100円
●TEL:092-922-7811
8 大宰府政庁跡(国特別史跡)
大宰府政庁の建物があった礎石が残っている。都府楼跡(とふろうあと)の名称で呼ばれ、公園として親しまれている。
●西鉄「都府楼前駅」下車徒歩15分/まほろば号「大宰府政庁跡」下車すぐ
9 坂本八幡宮
坂本地区の土地神様。大伴旅人邸があったとされ「令和」ゆかりの場所として参拝されている。
●西鉄「都府楼前駅」下車徒歩20分/まほろば号「大宰府政庁跡」下車徒歩5分
●氏子会休務日:毎週月曜・木曜(祝日・振替休日の場合は翌日)
●TEL:092-928-3100
10 筑前国分寺跡(国史跡)
奈良時代、聖武天皇の勅令で建てられた国分寺のひとつ。礎石が残る。
●西鉄「都府楼前駅」下車徒歩20分/まほろば号「筑前国分寺」下車すぐ
おすすめの宿

古都の風情を愉しむ古民家分散型ホテル

■ホテル カルティア 太宰府

風情溢れる太宰府門前町をひとつのホテルと見立て、 歴史的に価値の高い建築を当時の趣そのままにリノベーション。古民家分散型ホテル&レストランとして昨年10月にオープン。さらに近くに古民家ホテルを2棟オープン予定で九州初の分散型ホテルとして注目を浴びています。レストランは地元の食材を生かしたフレンチ。ランチだけでも贅沢なひとときをお過ごしいただけます。

福岡県太宰府市宰府3-3-33
TEL:0120-210-289(総合窓口)
https://www.cultia-dazaifu.com/

観光に便利な交通機関

■観光列車「旅人」

西鉄福岡(天神)駅~二日市駅~太宰府駅の間で運行。太宰府の名所や四季の花を描いた外装と、5つの開運文様が描かれた内装が素敵な観光列車です。
乗車記念スタンプも。

■観光人力車(前日までに要予約)

観世音寺・戒壇院~歴史の散歩道~坂本八幡宮~大宰府政庁跡などを見てまわれます。1人30分3,000円より、2人30分5,000円より。※コースや時間はご相談ください。

ご予約/TEL:090-8836-9724(人力屋 車夫直通)

グルメ&お土産

太宰府天満宮の門前町には、飲食店はもちろんお土産屋、雑貨店などたくさん。テイクアウトの食べ歩きもおすすめ。

[梅ヶ枝餅]

太宰府天満宮を訪れたら、やはりコレ。焼きたての梅ヶ枝餅はお土産にも。

梅ヶ枝餅 1個130円 ※写真は抹茶セット560円(お石茶屋)

[あまおういちご大福最中]

こちらも食べ歩きもOKの贅沢なスイーツ。鬼瓦を模した最中に大きなブランドいちご「あまおう」が。3月頃までの期間限定ですよ♪

あまおういちご大福最中 650円(天山 本店)

[太宰府バーガー]

人気のから揚げに梅と自家製タルタルがアクセント、今では太宰府名物バーガーに。

太宰府バーガー 550円(筑紫庵 本店)